国際貢献活動 CONTRIBUTION

国際貢献活動

国際貢献を通じて広がる放射線治療の未来

群馬大学腫瘍放射線学教室は、国際機関との連携を通じて国内外の放射線医学の発展に貢献しています。この取り組みは、放射線治療技術の向上を実現するだけでなく、地域間の医療格差の解消や国際的な医療基準の整備にも重要な役割を果たしています。当教室では、最先端の放射線治療技術を学びながら、国際社会での医療貢献の場を広げることができます。「がん治療の未来を創造したい」「世界で活躍できる医療人材を目指したい」というパッションある学生・研修医の皆さんを心よりお待ちしています。

IAEA

国際原子力機関(IAEA)は、平和利用を目的とした放射線技術の推進と管理を担う国際機関です。医療分野では、放射線技術を用いたがん治療の支援や、放射線安全管理の基準策定などを行っています。特に低・中所得国における放射線治療の普及と技術支援に力を入れています。
群馬大学腫瘍放射線学教室はIAEAとの連携を通じて、放射線治療の研究や技術の発展、国際的な知識共有に取り組んでいます。これらの活動は、放射線治療の質の向上だけでなく、国際的な医療の進展に貢献することを目的としています。

群馬大学とIAEAの主な連携活動

放射線治療のトレーニングと国際会議の開催

IAEAと共催で開催した「アジア地域協力トレーニングワークショップ」では、アジア地域を対象に、放射線治療技術や知識の共有が行われました。「IAEA エキスパートミッション」では画像誘導小線源治療(IGBT)に関するレクチャーやハンズオンでの指導を行いました。こうした活動は、医療技術が未整備な地域での治療水準の向上に寄与しています。

国際プロジェクトへの参加

IAEAが主導する「アジア・大洋州地域におけるがん放射線治療プロジェクト」に参画し、治療技術の標準化や発展を支援しています。このプロジェクトでは、多国間での技術共有や研究交流が進められており、群馬大学がその中心的な役割を担っています。

「Rays of Hope」事業の日本拠点

2024年、群馬大学はIAEAの「Rays of Hope」の日本アンカーセンターとして選定されました。この取り組みは、医療資源が限られる地域での放射線治療技術の普及と研修を支援するもので、群馬大学は技術研修やノウハウの共有を行っています。

国際的な視察受け入れ

群馬大学重粒子線医学センターは、IAEA大使団などの国際的な視察を受け入れており、放射線医療の現場を通じて日本の技術と知識を発信しています。

PTCOG/PTCOG-AO

陽子線、重粒子線を含む粒子線治療の国際的な研究活動グループ。グローバルの団体はPTCOG(ピーティコッグ)と呼ばれ、アジア、アメリカ、欧州の3大陸を順番にまわりながら学術大会を開催しています。群馬大学は2010年にはこの学術大会を前橋で開催しました。2022−2025年の会長は、群馬大学のリーディング大学院プログラムのアドバイザリーボードメンバーである、Marco Durante教授(ドイツGSI)です。ここでは粒子線治療の研究成果を発表するだけでなく、最新情報を得ることができます。また、施設数が近年急速に増加しているアジア・オセアニア地域でもPTCOG-AOが結成され、大野教授が2025−2027年の会長を務めています。この地域の患者さんに最善の粒子線治療を提供できるよう、学術的活動に取り組んでいます。

FARO

アジア放射線腫瘍学連合(FARO: Federation of Asian Organizations for Radiation Oncology)は、アジア地域の放射線腫瘍学の発展を推進する国際学術組織です。がん診療における放射線腫瘍学の重要性を高めるとともに、アジア地域のがん患者の利益のために放射線治療の基本レベルを向上させることを目的として設立されました。FAROではアジア地域の放射線治療に関する、教育・研修、臨床実践・研究、国際協力の分野で多くの活動を行っています。
群馬大学腫瘍放射線学教室は、これらの活動に積極的に参加し、アジア各国への放射線治療技術の共有、人材育成、そして国際的な学術交流の促進に貢献し、アジア地域の放射線治療のレベルアップに貢献しています。

FNCA

アジア原子力協力フォーラム(FNCA: Forum for Nuclear Cooperation in Asia)は、アジア地域における原子力技術の平和利用を推進する国際的な協力組織です。参加国には日本をはじめ、中国、韓国、タイ、インドネシアなどアジア太平洋地域の国々が含まれます。FNCAは、エネルギー分野や環境保護、医療分野において放射線技術を応用するプロジェクトを運営しており、特に医療分野ではがん治療に焦点を当てています。FNCAの医療プロジェクトでは、放射線治療における治療技術の標準化や、医療格差を減らすための活動が進められています。
群馬大学腫瘍放射線学教室では、FNCAと連携し、放射線治療技術の向上や知識の普及を目指した取り組みを行っています。この活動は、アジア地域のがん治療環境を改善し、医療の質を向上させるための重要な役割を担っています。

群馬大学とFNCAの主な活動

子宮頸がん治療プロジェクト「Cervix-V」への参加

群馬大学腫瘍放射線学教室は、FNCAが主導する子宮頸がん治療プロジェクト「Cervix-V」に参加しています。このプロジェクトでは、組織内小線源治療を用いた放射線治療の効果を最大化することを目標として、アジア地域のがん患者の治療データを収集・分析しています。これにより、治療成績を向上させるとともに、地域全体での技術標準化を進めています。

ワークショップの開催と参加

FNCAが開催する放射線治療に関するワークショップでは、群馬大学のエキスパートが治療技術や最新研究成果を共有しています。特に組織内小線源治療の実践例や、治療計画の最適化に関する知見を発信し、アジア各国の医療従事者と技術交流を行っています。

技術移転と人材育成

群馬大学は、FNCAを通じてアジア地域の医療従事者に向けた教育活動を行っています。研修プログラムを通じて、放射線治療機器の適切な運用や治療計画の策定方法を指導し、地域の医療技術水準の向上に貢献しています。

ITCCIR

重粒子線がん治療の国際トレーニングコースであるInternational Training Course on Carbon-ion Radiotherapy (ITCCIR)をQST病院とともに毎年開催しています。本トレーニングコースは、医師、医学物理士、生物研究者、学生等を対象とし、臨床医学、物理学、生物学など重粒子線治療に関連する講義、症例検討、施設見学を行う国際人材育成プログラムです。1週間の研修中後半の3日間は群馬大学で開催され、講師もすべて群馬大学が担当しています。2012年の開始以来、重粒子線治療を開始または計画している世界中の施設から、25か国、のべ700人以上が参加しました。今や「重粒子線がん治療を学びたいなら、一度はこの研修に参加しよう!」と海外でも認識されています。

頭頸部がんに対する重粒子線治療の症例検討。講師の武者先生からの質問に受講生たちが赤、青、黄の色紙で回答している様子。

国際貢献に興味が
ある人へのメッセージ

講師 久保亘輝の顔写真

准教授 久保 亘輝

(2019年入局)

  • 出身

    埼玉県深谷市

  • 興味のある分野

    肺癌

  • 趣味

    バーベキュー・子供と遊ぶ

  • 大学時代の部活

    弓道部

今やっていることは?

IAEA/RASプロジェクトのいくつかに関わっています。またFAROのScientific Committee に参加しております。

国際貢献の仕事のやりがいを感じるときは?

新しい出会いや、新しい事がいつもあります。また、自分の活動が他の国の人達に役立ったと実感できるときはやりがいを感じられます。

国際貢献というと英語力が必要だったり、臨床との両立が難しいのではといった心配があるが、どうか?

英語力はあるに越したことはないです。ただ、それ以上に相手のことを考えるやる気や熱意が重要だと思います。と言っても、最初は何をするのかよくわからないと思うので、とりあえず気軽に何回か参加してみることをお勧めします。やってみてあっていればやる気が出てきて続けられます。国際貢献の仕事は忙しい時期とそれほどでもない時期が分かれていることが多いです。学会参加みたいなものだと思えば、両立するのはそこまで難しくはないのではないかと思います。

今後の目標を教えてください。

アジアに関係するプロジェクトに携わってきたので、今後もアジアの放射線治療の発展に寄与できればと思っています。

国際貢献に興味がある学生・研修医に向けてメッセージをお願いします。

熱意がある人は大歓迎ですが、ちょっと興味があるという人もお待ちしております。私自身も最初はそこまで興味が空く、他の人の代わりとして偶然関わるようになったのがきっかけでした。それからなんだかんだで10年以上続けています。普段の臨床とは違う世界に触れてみるというのも意外と楽しいと思うかもしれません。ちなみに国際貢献と一言にいっても、仕事の内容は様々なものがあります。海外に行くこともあれば国内ですることもあります。ホストとして何かをすることもあれば、会議の参加者としてプロジェクトの成功を目指して活動することもあります。いろいろな活動の中で、自分に合うものが見つかるかもしれません。ぜひ一緒に国際貢献という活動をしていきましょう。

ページトップへ戻る